bousai0119’s diary

世界の火災による被害を無くしたい

火災報知器について

鹿児島市の条例で、既存を含む全ての住宅に火災警報器の設置が義務付けられてから6月で10年。設計寿命を迎える警報器が多数発生するとみられる。古い警報器は熱や煙を検知しない恐れもあり、市消防局は春季全国火災予防運動(1日~7日)に合わせ、「命と財産を守るために、早めの交換を」と呼び掛けている。

 国の算出方法に基づいた抽出調査によると、市内の住宅用火災警報器の設置率は96.2%(2020年7月現在)。全国平均の82.6%を大きく上回る。県庁所在地別でも福井市の98.0%に次いで2位だ。

 設置率が高い理由の一つには、義務化前に発足した「安心安全火の用心サポーター」の存在がある。約30人が未設置世帯の住宅をのべ30万回訪問し、チラシやハガキを配布。さらにテレビCMを約2年間放送するなど徹底的にPRした。作戦は奏功。義務化された11年6月に約27万軒を戸別訪問したところ、76.1%の住宅で設置が確認された。

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 住宅火災の発生件数は義務化前の2010年が84件だったが、20年は43件に減った。消防局予防課によると、火災警報器のほかオール電化の普及や、ガスコンロの火災予防センサー機能の向上などが減少の理由だとして考えられるという。

 警報器の有無は住宅火災発生件数に占める全焼率に顕著に表れている。15~19年を比べると、警報器を設置している住宅は13%、設置していない住宅は53%だった。予防課の猪俣光博主査は「警報器が煙を検知し、ぼやで収まるケースも多い」と説明する。

 また、住宅火災による死者発生率は、全国平均が10万人当たりで1.17人だったのに対し鹿児島市は0.5人と低かった(19年)。

 火災警報器は電子部品の劣化などを考慮し交換時期を10年としているものが多い。義務化当時のデータを基に算出すると、市内で対象になる住宅は約20万軒に上る。

 斎藤栄次予防課長は「『見た目はどげんもなか。まだ大丈夫』と判断する人も多いが、電池の劣化などにより警告音量が小さくなっている場合もある」と指摘。過去10年間をみると死亡者の7割は65歳以上というデータもあり「就寝時の逃げ遅れを防ぐためにも、特に高齢者世帯は注意してほしい」と呼び掛ける。

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 ビックカメラ鹿児島中央駅店(中央町)では、1階のリフォームコーナーで住宅用火災警報器を販売している。今のところ問い合わせは増えていないが、中川原雅俊副店長(35)は「10年前は1日に十数件あった。6月が近づくにつれて買い求める人も増える」と予想している。

コーナーには一つが感知すれば家中の警報器全てが鳴る無線連動タイプ(2個1万8千円台~3個2万2千円台)や、無線連動機能を持たない単体タイプ(3千円台)が並んでいる。

 最近は単体から無線連動タイプに買い換える人が増えており、中川原副店長は「コロナ禍で、家で過ごす時間が増えてより安全を求める傾向があるようだ」と話した。

 ●廃棄は回収箱へ
 古くなった住宅用火災警報器は、どう処分すればいいのだろう-。

 鹿児島市は市役所本庁や各支所、環境未来館(城西2丁目)などに設置してある「小型家電回収ボックス」への投入を呼び掛ける。「燃やせるごみ」として廃棄することも可能だが、レアメタルなど金属を有効に再利用するためだ。古くなった電池は電器店などで回収している。

 製造年月は、本体裏面や側面に記載されて製品が多い。正常に作動するかどうかの点検は、警報器に付いているひもを引いたり、ボタンを押したりして確認する。天井から外す際には転倒や落下の危険がある。市消防局は「高齢者は一人でやらずに、親族や近所の人に協力をお願いしてほしい」としている。